CHOURS ”かべ”創立百周年記念誌
昭和49年発行 
可部小の本 歴史を振り返る

ごあいさつ 創立百周年記念事業実行委員会委員長 勝岡 勝也

今年は明治七年に、可部小学校の前身としての成美舎が創立されて数えて百年ににあたります。

このときこの事業のお世話をさせて頂くことになり、その責務の大なることを痛感すると共に、その
因縁に恵まれましたことを心より喜んでおります。

さて、「百周年は何のためにやるのか」と云う素朴な疑問をどなたもいだかれたことと思います。

庭先に咲いている一輪の花を見るにつけても、現在はきれいな花を咲かせ、人間のとげとげとした心を、
なごませてくれます。

しかしそのうらには花としての生いたちがあり、成長していく上の苦闘があると思います。

その花の歩みなり、苦闘を汲みとることによって、花の美しさも一層深まるのではないでしょうか。

古きを尋ねて新しさを知ると云う古い言葉がありますが、可部小学校もいっきに現在のような立派な
学校になったのではなく、現在にいたるまでには、いろいろな歩みをし、その歩みの中で幾多の人々の
汗と、涙が流れらたが故に、今日の姿があると思います。

人間はともすると結果のみを見て批判する傾向がありますが、結果に至るまでの過程を考え、どのように
努力したか、どのように進展し改善されてきたかを洞察することをおこたりがちです。ただ単に時間的な
経過として受け取れば無味なものですが、可部小の歴史的なあゆみをふりかえり、感謝の念を新たにし、
将来のよりよい発展を願うことこそ、百周年を迎える意義があると確信いたします。

以上のことをもととして、百周年事業のの一つとして、百年記念誌「かべ」の編集発刊を企画いたし、編集
委員会を組織し、毎月一回の割りで会を持ち、編集方針の方針の立案、沿革史の整備調査、史料の調査
収集、原稿起し、整理、校正等々の作業を経て、今度発刊を見るに至りましたことは、誠に喜ばしい次第で
あります。

記念誌「かべ」を発刊するにあたり、次の三点を柱として編集にとり組みました。

一、教材性の重視
  児童が平常の社会科の時間に教材として使えるもの、どの学年にも役立つもの。
二、学校沿革史を中心とした校正
  百年の教育のあゆみを中心としたもの、教育制度のうつりかわり、校地のうつりかわり等々
三、副次的なものとして、経済・産業史におく

以上のことを明確にし、編集いたしましたが、なかには記録として不明確な箇所もあろうかと思いますが、
時間的制約があります関係等を考慮下さりお許し下さい。

この主意にご賛同頂き、物心両面にわたりご支援下さった同窓生の方々及び学区内町民の方に、ご父兄の
皆様方に心より御礼申し上げます。

記念誌発刊にあたり、原稿及び資料等々を快く提供下さった方々、又、最後に一年半と云う長い時間と労力を、
百年事業推進にご奉仕下さった、実行委員、編集委員の方々に心より感謝申し上げます。

百周年を機縁として郷土可部小学校がますます発展し、良き人材が育成されることを念願いたし粗言を終わります。